ポーランドの移転価格税制
【近年の動向】 (2012年5月現在)
ポーランドにおいては、移転価格課税を重点項目の一つとして考えている。近年では、2006年のAPA制度導入以降、申請件数が増えていないこともあり、納税者に対してAPAの取得を推奨している。
【基本情報】
①税務当局
Ministerstwo Finansów
②移転価格税制の課税対象
5%以上の株式の保有関係にある国外関連者との取引。
③移転価格課税の時効
6年間
④文書化の義務
国外関連者間取引がEUR30,000を超える場合、文書化資料を準備しなければならない。
但し、持分割合が20%未満である場合には、取引金額がEUR50,000又はEUR100,000を超える場合に文書化の義務が発生する。
またタックスヘイブン対象国との取引がEUR20,000を超える場合にも文書化義務が課される。
文書化を行わずに課税された場合、50%の税率(通常の場合19%)が課される可能性がある。
なお、ポーランドの文書化規定では、必ずしもベンチマークスタディは求められていない点も特徴的である。
⑤比較対象会社の選定
ポーランド税務当局は、データベースとしてAmadeus又はローカルデータベースであるTegielを使用している。
⑥移転価格算定方法
伝統的な取引基準法(独立価格比準法、原価基準法、再販売価格基準法)が優先されており、利益ベースの算定方法(取引単位営業利益率法、残余利益分割法等)は劣後する。
⑦移転価格課税が行われた場合のペナルティー
通常の税率は19%であるが、課税にあたっては50%の税率が課されることとなる。
但し、文書化資料の準備により、通常の19%の税率に減額できる可能性がある。
⑧近年の傾向
過去に比較して、無形資産取引等の複雑な事案に対して調査が行われるようになってきている。
⑨比較対象会社の選定
原則としてポーランドの企業を選定することが求められるが、ポーランドと同様の経済状況にある国の企業であれば認められる可能性がある。
⑩関税当局と税務当局との連携
関税当局と税務当局との連携のレベルは比較的高い。
⑪相互協議及びAPA
ポーランド当局は相互協議の経験が少なく、二重課税の解消及び二国間APAの合意には困難が予想される。
⑫使用言語
ポーランド語のみ